金融市場NOW
加速するキャッシュレス社会 日本は遅れ
2018年04月19日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
キャッシュレス化 2025年までに40%へ
- 日常生活に現金を必要としないキャッシュレス社会が世界的に広がりつつある。
- 現金への高い信頼感や現金の入手が容易であることなどの日本の社会情勢が普及を阻む要因か。
- 将来的には、店舗における現金取扱業務を減らすことで、深刻化する人手不足の解消も期待される。
クレジットカードや電子マネーなどで支払うことで、日常生活に現金を必要としないキャッシュレス社会が世界的に広がりつつあります。欧米等の主要国ではキャッシュレス決済の比率が軒並み40~50%台であるのに対し、日本は20%程度にとどまっているのが現状です(グラフ1)。経済産業省の検討会は4月10日、2025年までに決済に占める「キャッシュレス化」の割合を現状の倍である40%に引き上げ、将来的には80%をめざすという提言をまとめたものの、目標達成は厳しそうです。
「キャッシュレス化」がなかなか普及しない理由として、消費者に現金に対する高い信頼感が根強いこと、ATMの利便性が高く現金の入手が容易であることなど、日本の社会情勢の良さが普及を阻む要因となっているようです。主要国間で名目国内総生産(GDP)に占める現金流通量を比較してみると、世界で最もキャッシュレス化が進展しているスウェーデンをはじめ、主要国と日本の差は歴然となっています(グラフ2)。2020年に東京五輪を控え、政府は『2020年までに訪日客数を4,000万人、消費額を8兆円に引き上げる』という目標を掲げており、キャッシュレスに慣れ親しんだ外国人旅行客のさらなる誘致と消費拡大のために、キャッシュレス化の普及は急務となりそうです。
経済産業省は産学官の協議会を設け、5月にもキャッシュレス決済を導入する店舗への税制優遇措置や、補助金の支給などの検討を行い、カードの読み取り機の普及などへつなげたい意向です。今後は、キャッシュレス決済の普及により、店舗での現金取扱業務を減らすことで、近年深刻化している人手不足の解消も期待されます。
金融市場動向
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