金融市場NOW
米国 世界最大の原油生産国へ
2018年03月16日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
2019年までにロシアの生産量を追い抜くか
- 国際エネルギー機関(IEA)は、米国が世界最大の産油国になるとの見通しを公表。
- シェールオイルの採掘や採掘業者などのコスト削減の進行が、米国の原油生産増加の要因か。
- 米国の原油増産が拡大し続ければ、OPEC加盟国の協調減産に影響を与える可能性も。
国際エネルギー機関(IEA)は、米国の原油生産は増加が続き、同国が世界最大の産油国になるとの見通しを示しました(グラフ1)。2017年の米国の順位は、ロシア、サウジアラビアに次ぎ3位となりましたが、遅くとも2019年までにロシアの生産量を追い抜くと予想されています。
背景として、米国におけるシェールオイルの生産が増えていることがあげられます。近年、これまで通常の原油や天然ガスに比べると高額であったシェールオイルの採掘や採掘業者などのコスト削減が進むと同時に、原油価格が2016年初頃から上昇基調にあることが増産の要因として考えられており(グラフ2)、米国の原油生産量は、遅くとも2019年までにロシアを追い抜き、世界最大の産油国になる見込みです。
最新の月間統計である2017年11月の月間生産が日量1,003万バレルとなり、1970年代以来初めて1,000万バレルを超えました。米エネルギー情報局(EIA)は、米原油生産量が2018年末には日量1,100万バレルに達し、この1年で石油輸出国機構(OPEC)の加盟国であるアルジェリアの日量に相当するおよそ110万バレルが増加すると予測しています。
世界的に景気は拡大傾向にあることから、原油の需要は引き続き底堅く推移するとみられており、OPEC加盟国が今後も協調減産を継続すれば、原油価格は堅調に推移すると予想されます。しかし、今後もシェールオイルを中心とした米国の原油増産が拡大し続ければ、協調減産に影響を与えるとみられ、原油市況の先行きが見通しにくくなりそうです。
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