金融市場NOW
米貿易赤字 拡大へ
2018年02月19日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
2008年以来、9年ぶりの水準
- 米商務省が発表した2017年の貿易統計によると、モノの貿易赤字は7,962億ドルとなった。
- 輸出の約半分を占める対中国の赤字が過去最大に膨らみ、対メキシコも増加となった。
- トランプ政権は赤字縮小に向け、貿易赤字相手国に対し制裁を示唆するなど厳しい要求をする可能性も。
2月6日に米商務省が発表した2017年の貿易統計によると、モノの貿易赤字(通関ベース)は前年比(以下同様)8.1%増の7,962億ドルとなりました。輸入が過去最大に増えたことが影響し、2008年以来9年ぶりの大きさに膨らみました。米輸出の約半分を占める対中国の赤字が3,752億ドルと過去最大に膨らんだほか、対メキシコも増加となり、同10.4%増の711億ドルと、中国に次ぎ第2位となりました。一方、対日は自動車関連が大半を占めたものの、全体の赤字額は前年比で横ばいとなりました(グラフ1)。 堅調な米景気を受けて輸出が同6.6%増加した一方で、輸入も同7.0%増加しました。好景気を受けた旺盛な個人消費から、自動車同部品や飲食料品の輸入が過去最高となったほか、産業機械などの資本財の輸入も大きく増加となりました。また2017年のサービス収支は2,440億ドル(国際収支ベース)となり、前年からやや減少となったものの、大幅な黒字となりました。モノとサービスを合算した貿易収支は5,522億ドルの赤字にとどまっており、サービスで稼ぐ構図は継続しているようです(グラフ2)。
トランプ政権は、不均衡是正への圧力を強めたり、貿易協定を破棄すると脅したり、また、不公正な貿易慣行を継続する国からの輸入品には「報復関税」を課すと発言するなど、今後は通商摩擦がいっそう激化する可能性も見込まれます。
トランプ政権は貿易赤字の削減と大規模減税を合わせることで、経済成長率(年率)を安定的に3%へ押し上げることができるとしていることから、米国は貿易赤字相手国に対し厳しい要求を続けていくとみられます。
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