金融市場NOW
家計・企業の金融資産 過去最高水準へ
2018年01月17日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
株高・円安が保有資産の時価評価額を押し上げる
- 2017年9月末時点の家計金融資産残高は、前年同期比4.7%増の1,845兆円となり過去最高を更新。
- 家計と民間企業の金融資産のうち4割が現金・預金であり、投資に向かうお金の動きは鈍い。
- 貯蓄志向や相続対策のための現金保有など「貯蓄から投資へ」の流れを阻む要因はまだ残る。
日本銀行が2017年12月20日に発表した2017年7~9月の資金循環統計(速報)によれば、2017年9月末時点で家計が保有する金融資産残高は前年同期比(以下同様)4.7%増の1,845兆円となり、過去最高を更新しました。家計の金融資産が過去最高を更新するのは2四半期連続です。保有の過半を占める現金・預金が2.8%増加したことに加え、株高・円安により保有資産の時価評価額が上昇したことも残高の押し上げ要因となりました。民間企業(金融を除く、以下同様)が保有する金融資産の残高も1,207兆円となり、過去最高水準となっています(グラフ1)。家計と民間企業の金融資産のうち4割が現金・預金となっており、投資に向かうお金の動きがまだまだ鈍いというのが現状のようです(グラフ2)。
家計の金融資産の内訳は、現金・預金の残高が2.8%増の943兆円、株式等は22.1%増の198兆円、投資信託は16.3%増の104兆円となっています。民間企業は、金融資産のうち現金・預金の残高は5.4%増の259兆円、対外直接投資は20.2%増の126兆円、株式等は27.4%増の387兆円となり、民間企業の資産の増加は、対外直接投資や対外証券投資が大幅に増加したことによる影響が大きいようです。
家計金融資産に占める現金・預金の割合は約51%であり、欧米などに比べると高くなっています。また企業の金融資産も預貯金が2割を占めています。およそ5年間で日経平均株価は約8割上昇しているものの、現預金の比率は4%ほど低下した程度にとどまっています。少額投資非課税制度(NISA)の開始による個人投資家の増加等により、家計金融資産の構成比の変化が期待されるものの、貯蓄志向や相続対策のための現金保有など「貯蓄から投資へ」の流れを阻む要因はまだ残りそうです。
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