金融市場NOW
ドイツ総選挙 メルケル首相4選確実に
2017年09月27日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
メルケル首相は4選を確実にするも極右政党の躍進を許す
- 9月24日に行われたドイツ総選挙は、与党キリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU)は33%の得票率で第1党を維持。メルケル首相の4選は確実に。
- 一方で反移民や反イスラムを唱える極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が初めて議席を獲得、第3党に躍進した。今後の政策に少なからず影響を与えることも考えられる。
9月24日行われたドイツ総選挙では、与党CDU・CSUは33%の得票率で第1党を維持しました。メルケル首相の4選は確実なものとなりました。一方でこれまで連立政権を構成していた社会民主党(SPD)は第2党を維持したものの、大きく議席を減らしました。これを受けてSPDは新政権では連立政権からの離脱を表明しました。メルケル首相は自由民主党や緑の党との3党連立政権を模索する見方が大勢です。
与党CDU・CSUは第1党を維持したものの、その得票率は前回2013年の41.5%からは8.5ポイント下落しており、大きく議席を減らす結果となりました。一方で反イスラム・反移民・同性婚反対などを唱えるAfDは躍進し得票率は12.6%に達しました。ドイツは第二次世界大戦前の少数政党の乱立がナチスの台頭を招いたとの反省から、5%の得票率、小選挙区にて3議席獲得に満たない政党は議席を獲得できないルールが定められています。 AfD は1949年のドイツ連邦共和国誕生後で初めて連邦議会に議席を獲得した極右政党となりました。同党へは主に東部、南部の住民から強い支持を受けており、同地域は東西ドイツ統一後に旧西ドイツ地域との経済格差が開き、長年、成長の恩恵を受けられなかった地域である上、難民流入問題などが重なったことなどが同政党への支持につながったとの見方もあります。
反移民を唱える極右政党への一定の支持が集まったことや、新たに連立を模索する政党とは環境政策や難民・移民政策への立場の違いから、今後メルケル政権は外交政策や国境警備などの政策転換を迫られる可能性があります。9月以降堅調に推移していたユーロは極右政党躍進への警戒感から対円など主要通貨で売られました。選挙後初めての取引となる25日のドイツ株式市場はユーロ安となったことが好材料となりDAX30は小幅に上昇しました。選挙結果に波乱はあったものの、堅調な経済回復を続けるEU(欧州連合)圏の中心であるドイツでひとまず政権が維持される結果となったことで、政治リスクがマーケットへ与える影響は限定的になると想定され、次第に堅調な経済へと視点が移されていくと思われます。
表1:選挙結果(9月25日時点)
改選前 | 改選後 | |||
---|---|---|---|---|
議席数 | 得票率 (%) |
議席数 | 得票率 (%) |
|
CDU-CSU | 310 | 41.5 | 246 | 33.0 |
SPD | 193 | 25.7 | 153 | 20.5 |
AfD | 0 | 4.7 | 94 | 12.6 |
自由民主党 | 0 | 4.8 | 80 | 10.7 |
左翼党 | 64 | 8.6 | 69 | 9.2 |
緑の党 | 63 | 8.4 | 67 | 8.9 |
その他 | 0 | 6.3 | 0 | 5.1 |
合計 | 630 | 100 | 709 | 100 |
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