金融市場NOW
企業主導型保育所 定員数7万人へ
2017年08月30日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
多様な働き方に対応 待機児童解消なるか
- 企業主導型保育所の定員枠を当初計画より2万人増やし、2017年度末までに7万人にする見込み。
- 政府が掲げる2020年度末までの待機児童解消をめざし、企業と協力のもと子育て世帯を支援。
- 企業主導型保育所の需要は大きいものの、待機児童の多い都市部での設置遅れや保育士不足が課題。
松山少子化担当相は8月15日の閣議後の記者会見において、「企業主導型保育所」の定員について当初計画より2万人増やし、2017年度末までに計7万人にすると発表しました。
政府は2020年度末までの待機児童の解消をめざし、2018年度からの3年間で保育の受け皿を22万人分整備するとの目標を掲げています。このうち2万人分を企業主導型保育所の定員の増加とし、今年度中に実施する方針を決定しました。企業との協力をテコに子育て世帯を支援する受け皿の拡大を急ぐ見込みです。
企業主導型保育所とは、一定の基準を満たせば企業が認可保育所並みの補助金を受け取り創設できる施設のこと(表1)。企業が共同で設置することも可能であり、認可保育所と比べて少ない定員で開所できることもできます。同制度を活用した保育所は2017年4月時点で全国871施設、定員は2万284人分となっており、5月に実施した2017年度分の助成募集では、約3万9,000人分の申請がありました。背景には、従業員の多様な働き方に対応したい企業の狙いがあるようです。政府は需要の大きさを踏まえて枠の拡大に踏み切り、追加募集を受け付ける見込みです。
しかし、特に待機児童数が多い都市部での設置が遅れており、未だに待機児童数は減っていないというのが現状です(グラフ1)。また、保育業界全体が保育士不足であるため、企業主導型保育所も保育士が集まらないという課題もあるようです。
表1:企業主導型保育所と認可保育所のちがい
企業主導型保育所 | 認可保育所 | |
---|---|---|
企業など | 運営費 | 社会福祉法人など |
主に従業員の子ども。保育所により、地域の子どもも可 | 受け入れ対象 | 主に地域の子ども |
認可保育所の水準を参考に企業が設定 | 利用料 | 保護者の所得に応じて0円~10万4,000円 |
認可保育所の配置基準に加えて、全体でもう1人 | 職員数 | 0歳⇒子ども3人につき1人 1・2歳⇒6対1 3歳⇒20対1 4・5歳⇒30対1 |
半数以上 | 保育士の割合 | 全員 |
整備費は認可保育所並み、運営費は保育士の割合に応じて5%程度以上 | 国の助成金 | 設備費の4分の3、運営費の一部 |
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