金融市場NOW
“テレワーク”定着ほど遠く
2017年08月16日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
コミュニケーション方法など課題多い
- テレワークへの関心が高まりつつあり、ワークライフバランスの向上が期待されている。
- 労働力や優秀な人材の確保が期待できるため、積極的に導入を進める企業が目立ち始めている。
- 情報の取り扱いや同僚とのコミュニケーション方法など導入率を高めるにはなお課題も多い。
自宅など、職場以外で仕事をするテレワーク※1への関心が高まりつつあります。社会環境を向上させる効果に加えて、働く人にとってはワークライフバランスの向上が期待できます。しかし、日本ではテレワーク人口はまだ少なく、認知度も低いというのが現状です(グラフ)。導入する企業の割合は2016年9月末時点で13.3%と、2020年に3割以上にするという政府の目標にはまだ遠く、機運は高まっているものの、情報セキュリティーの確保などが課題になっています。
テレワークを活用できれば育児や親の介護などで出社できない状況でも働くことができ、休職や離職を避けることができるため、労働力や優秀な人材を確保する観点から積極的に導入を進める企業が目立ち始めています。総務省が2014年に公開した「労働力調査」によれば、就業を希望する非労働人口のうち、結婚・出産・育児のために前職を離職した女性は135万人にも上り、離職者全体のおよそ5割を占めました。自宅または近くのサテライトオフィス※2で仕事をすることができれば、離職率の低下につながることも期待されます。また、今後は高齢化社会の進展により、介護による離職も増加すると予想され、これまでやむなく離職していた、あるいは就業できなかった優れた人材の確保にも、 テレワークの導入が期待されます(図)。
しかし、職場から離れて働くことになるため、業務で取り扱う情報の漏えいをどう防ぐのか、同僚社員とどうコミュニケーションを取るのかといった課題があります。導入率を高めるにはさまざまな工夫によってこのような課題を乗り越えることが重要となりそうです。
- 情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。
- 企業または団体の本拠から離れた所に設置されたオフィスのこと。
金融市場動向
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