金融市場NOW
6月の貸家着工 20ヵ月ぶりの減少
2017年08月14日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
供給過剰が懸念材料 地主の意識に変化か
- 6月の貸家の着工件数は、前年同月比2.6%減。20ヵ月ぶりの減少となった。
- 相続税の節税対策等を背景に、昨年は前年同月比で2ケタ増の大きな伸びが続いた。
- 都市部の不動産投資の需要は底堅いものの、地方では前年割れが目立ち始めている。
国土交通省が7月31日に発表した6月の新設住宅着工戸数は、前年同月に比べて1.7%増の8万7,456戸となり2ヵ月ぶりに増加しました(グラフ1)。
利用関係別に内訳をみると、持家は2万6,037戸で、前年同月比3.4%の減少となりました。このうち民間資金による持家が2万2,956戸で同4.0%の減少、公的資金による持家は3,081戸で1.5%の増加となっています。貸家は3万5,967戸と同2.6%の減少になり、20カ月ぶりにマイナスに転じ、26都道府県で減少しました。民間資金による貸家は3万2,690戸で同0.5%の減少、公的資金による貸家は3,277戸で19.0%の減少と、大幅マイナスになっています。一方、分譲住宅は2万4,976戸で同15.5%プラスの2桁増となり、先月の減少から再び増加となりました。うちマンションが1万2,942戸で同27.1%の大幅増、一戸建住宅は1万1,817戸で4.8%の増加でした。
貸家は相続税の節税対策やマイナス金利を背景に、2016年7月~11月は前年同月比で2ケタ増の大きな伸びが続いたものの、今年6月は、岩手県や鳥取県、山口県で4割以上も減少しました(グラフ2)。貸家の着工ペースが転機を迎えた可能性があるとみられています。国土交通省や金融庁は、地方において人口が減るにも関わらず、貸家が増加する状況を注視しているようです。
都市部を中心に不動産投資の需要は底堅く推移しているものの、地方では前年割れが目立ち始めています。国土交通省は『アパートの供給過剰が指摘され、地主の意識に変化が見られる』とし、今後の動向を注視しているようです。
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