金融市場NOW
正社員の有効求人倍率 初の1倍超え
2017年08月08日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
幅広い業種で人手不足 企業は正社員の求人を増やす
- 6月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.02ポイント高い1.01倍となった。
- 幅広い業種で人手不足が起こっており、各企業は長期で人を雇おうと正社員の求人を増やしている。
- 正社員の獲得競争が激しくなり、近年、企業は賃金水準を高めざるを得なくなっている。
厚生労働省が7月28日に発表した6月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.02ポイント高い1.01倍となりました(グラフ1)。パートなどの非正規社員の採用で目立つ人手不足が正社員にも広がりつつあるようです。1倍を超えて求人が求職を上回るのは2004年の調査開始以来初めてとなり、企業の人手不足感が一段と鮮明になりました。主婦や高齢者の非正規雇用が中心だった雇用改善が、賃金水準の高い正社員にも広がったことで、賃金上昇圧力が高まる可能性もあるとみられます。
正社員の新規求人数は前年同月より8.7%増加し、パートタイム労働者など非正規社員も含めた求人数の伸びよりも大きくなりました。幅広い業種で人手不足が起こり、各企業は長期で人を雇おうと正社員の求人を増やしています。現在、パートタイムを除く常用雇用を求める求職者は115万人であり、3年間で28万人減少しています。このように一部の統計からは、「正社員になろう」と思う人が増えない面もみられます。「短時間勤務で転勤もない」という理由から自ら非正規社員の立場を選択し、正社員になるのを避ける空気もあるようです。
正社員の獲得競争が激しくなり、近年、企業は賃金水準を高めざるを得なくなっています(グラフ2)。「前職と比べて賃金が1割以上増えた転職者」は2016年度時点で転職者全体の28.7%となっています。転職者の賃上げにより正社員の給与も押し上げられれば、消費拡大や物価押し上げにつながるという面もある一方で、深刻な人手不足の継続は企業の成長を阻害してしまうという面もあります。企業が先行きの成長に悲観的になれば、かえって賃金・物価上昇を抑制してしまう可能性も見込まれます。
金融市場動向
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