金融市場NOW
マンション市況 底入れの兆し
2017年07月31日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
東京都区部(23区)の高額物件がけん引し4年ぶりに前年を上回る
- 2017年上半期(1~6月)のマンション発売戸数は、前年同期比1.9%増の1万4,730戸。
- 都区部を中心に、交通などの利便性が高いエリアでのマンション需要がけん引。
- 郊外は苦戦中。駅前物件などを除き、売れ行きの回復については引き続き不透明な部分が多い。
首都圏(1都3県)の新築マンション市況に底入れの兆しが出ています。不動産経済研究所が7月18日に発表した2017年上半期(1~6月)の発売戸数は前年同期比1.9%増の1万4,730戸と4年ぶりに増加しました(グラフ1)。東京都区部(23区)の高額物件がけん引し、今後も回復傾向が続く見通しです。
エリア別で見ると、東京都区部が5.4%増、東京都下(23区以外)が28.1%増と大きく伸びました。都区部では千代田区や港区などで売りに出される1億円以上の「億ション」などの販売好調が続いているようです。都区部を中心に、交通などの利便性が高いエリアでのマンション需要は旺盛です。2016年上半期の発売戸数が24年ぶりの低水準だったことも、底入れ感につながっています。不動産経済研究所は2017年通年の首都圏の新築マンション発売戸数も前年比6.2%増の3万8千戸前後と見込んでおり、4年ぶりに前年を上回ると予測されています。在庫の解消を優先し、販売が後ずれしていた新規の大型物件の供給が本格化するようです。
好調な都市部と対照的に、郊外は苦戦が続いています。2017年上半期の発売戸数は東京都下を除いて軒並み減少しました。背景にあるのが、価格の高止まりです。上半期における首都圏マンションの1戸あたりの平均価格は前年同期比で3.5%上昇の5,884万円となり、上半期としては過去3番目に高い水準となりました(グラフ2)。実際に消費者が購入した割合を示す契約率は2017年上半期の実績で67.3%と2年連続で好不調の分かれ目とされる70%を下回りました。郊外物件の売れ行きの回復については駅前物件などを除き、引き続き不透明な部分が多いようです。
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