金融市場NOW
個人型確定拠出年金 活況を見せる
2017年06月23日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
制度改正後の新規加入者の中心は30~40歳代
- 個人型確定拠出年金(個人型DC)の加入者数が増加。制度改正を受けて2017年1月からより勢いづく。
- 最大の利点はさまざまな税制優遇を受けられる点。所得控除がないNISAよりメリットが大きい。
- NISAと比較すると口座数は少なく、「すべての現役世代」に広がるには時間を要するか。
個人型DCの加入者数の増加が勢いづいています。
2017年4月末時点で約49万人と、2016年3月末から9割程度増加となりました(グラフ1)。制度改正に伴い、2017年1月から現役世代すべてに対象が広がり、30~40歳代という比較的若い世代を中心に加入者が増加しており、税制上の優遇措置をテコに「貯蓄から資産形成へ」という流れが加速してきているようです。
個人型DCは昨年末までは、勤務先に企業年金がない人や自営業者などに限られており、公務員や専業主婦(夫)は対象外となっていましたが、制度改正により今年1月から企業年金に加入する会社員も含むすべての現役世代(およそ6,700万人)に対象が広がりました。対象が広がる前の昨年末時点の加入者数(約30万人)と比較すると、4ヵ月で20万人前後、およそ6割増加した計算になります。
個人型DCの最大の利点は、さまざまな税制優遇を受けられる点です。金融商品を購入する資金が所得控除の対象になり、運用益は非課税となり、資金を引き出す際も各種控除(年金受取りは公的年金等控除、一時金受取りは退職所得控除)の対象となります。
非課税期間が制限され、所得控除のない少額投資非課税制度(NISA)に比べてもメリットが大きいとされています。新規の加入者は30~40歳代が中心となっており、対象拡大の制度変更と税制優遇の利点が浸透し始めたようです。
加入者の職業構成を見ると、会社員が6割と最も多く、次いで自営業者、公務員となっています。専業主婦(夫)は3%程度にとどまり、所得控除の影響がないため浸透しにくいとみられています。口座数が1,000万件を超えたNISAと比較すると規模はまだ小さく(グラフ2)、加入対象である「すべての現役世代」に広がるにはまだ時間がかかりそうです。
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