金融市場NOW
法人企業統計 収益・設備投資ともに改善へ
2017年06月08日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
輸送用機械や建設業がけん引
- 2017年1~3月期の法人企業統計によると全産業の設備投資は前年同期比で4.5%増となった。
- 製造業では生産能力を引き上げる動き、非製造業は建設業で賃貸物件を取得する動きが増加。
- 経常利益も高水準を維持。4~6月期の四半期決算時には業績上方修正の可能性も。
財務省が6月1日に発表した2017年1~3月期の法人企業統計によると、全産業(金融業、保険業を除く、資本金1,000万円以上)の設備投資(ソフトウェア含む、以下同様)は4.5%増(前年同期比、以下同様)の14兆2,901億円となりました。2四半期連続で前年を上回り(グラフ1)、リーマン・ショック前の2008年1~3月期以来の水準を回復しました。
設備投資は製造業で1.0%、非製造業で6.3%それぞれ増加となりました。製造業では生産能力を引き上げる動きが相次ぎ、化学はスマートフォンや自動車向け部品の増産に向けた投資が伸びました。また、非製造業は建設業で賃貸物件を取得する動きが増えたほか、卸売業で物流センターの新設がみられました。今回、設備投資額は統計を遡ることができる2001年7~9月以降で4番目の高水準となっています。輸送用機械や建設業がけん引し、人手不足を補うための省力化・効率化への投資も好調のようです。
経常利益は26.6%増の20兆1,314億円となり、過去最高を記録した2016年10~12月期に続き高水準を維持しました。輸送用機械が全体を押し上げたほか、海外子会社から受け取る配当を増やす動きも利益の押し上げに寄与しました。今回の景気回復局面では、非製造業に比べ製造業の収益回復が遅れていましたが、世界経済回復の恩恵を受けて2016年度に入ると急回復し、同時に製造業の利益水準も過去最高を更新しました。
今回の法人企業統計では、世界経済の拡大と円安が製造業を中心に業績を押し上げていることが確認されました(グラフ2)。今後、一層の円高が進行しなければ、4~6月期の四半期決算時には業績の上方修正が行われることも期待できそうです。
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