金融市場NOW
「新産業構造ビジョン」まとまる
2017年06月02日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
2030年に照準を置き、目標と政策対応を掲げる
- 「新産業構造ビジョン」は6月にまとめる成長戦略の骨格となる模様。2030年を目標年次とし、成長の壁を新技術で克服する姿を描く。
- 当ビジョン実現のため、官民一体となった取り組みが期待される。
経済産業省は5月29日、第4次産業革命の実現に向けた「新産業構造ビジョン」をまとめました。人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoT(Internet of Things:インターネット・オブ・シングス)等の新技術の活用による日本の新しい産業の姿が示されています。政府は当ビジョンを成長戦略の骨格と位置付けており、6月にまとめる同戦略に反映させる方針です。
政府は「交通(移動)」、「生産性(製造)」、「健康・医療」、「暮し」の4分野を重点取り組み分野とし、2030年時点の目標とその実現のための対応を掲げています。「交通(移動)」では自動運転の普及加速を通じて運転手に起因する事故を半減させることや、バス停・鉄道駅が近くにない移動困難者を限りなく解消する方針が示されています。「生産性(製造)」ではロボットやAIの活用等で労働生産性を今より2%引き上げる目標が、「健康・医療」では個人の医療データの有効活用等により健康寿命を5年延ばす目標が掲げられています。「暮らし」では第4次産業革命の新技術を活用した「新たな街」作りにより、住民の満足度向上や地域の活力向上などを推し進めるとしています。
人口減少等の課題を克服し、日本が国際競争力を維持していくためには技術革新による産業構造改革が欠かせないとみられています。技術革新の実現・普及に向けては企業や業種等の垣根を越えた情報やデータのやり取りが必要となるケースも想定されます。政府は、事業の再編や業態転換が出来やすくなるように産業競争力強化法を改正することや、紛争処理迅速化のための特許法改正も視野に入れており、早ければ2018年の通常国会に提出する予定です。また、特定の法規制を一時的に適用しない「レギュラトリー・サンドボックス制度※1」の導入も提言しています。「新産業構造ビジョン」を実現するためには民間の協力や、省庁の枠にとらわれない法規制の改革が不可欠であると思われます。官民一体となった取り組みが期待されます。
※1 小さな失敗をとがめず、試行錯誤をさせることから砂場(サンドボックス)遊びに例えられています。
表:2030年に向けた目標と政策対応
項目 | 目標・政策対応 |
---|---|
交通(移動) |
|
生産性(製造) |
|
健康・医療 |
|
暮し |
|
金融市場動向
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