金融市場NOW
日本の人口 2053年に1億人割れ
2017年04月24日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
人手不足の深刻化 経済に打撃
- 「日本の将来推計人口」で、日本は“高齢国家”への道を歩んでいることが改めて浮き彫りとなる。
- 働き手の減少は特に深刻であり、生産年齢人口は50年後には4割減る見通しとなっている。
- 中長期的に働き手を増やすには出生率の引き上げが不可欠であり、今後の政府の対応が期待される。
国立社会保障・人口問題研究所が4月10日に発表した「日本の将来推計人口」において、世界でも類を見ない“高齢国家”への道を歩んでいることが改めて明らかになりました。5年前の推計よりも少子高齢化のペースは緩和する見込みではあるものの、主要な働き手である生産年齢人口が大幅に減る基調に変化はないようです(表1)。
特に、働き手の減少は深刻です。15~64歳の生産年齢人口(働き手の人口)は2015年の7,728万人から50年後には4,529万人へと4割減る見通しとなっています。足元でも生産年齢人口は年間50万人を超えるペースで減少していますが、今回の推計によると、より間近な20年にかけても300万人と大幅に減少する見通しが示されており、日本経済が直面する人手不足が深刻化することが裏付けられました。
働き手の減少は、日本経済全体へのインパクトも大きいようです。内閣府の2014年の試算によると、現状のペースで人口が減少し、生産性に改善が見られなかった場合、2040年代以降はマイナス成長が定着するとみています。2040年代以降の実質経済成長率を1.5~2.0%に保つには、1億人の人口を維持し、生産性を世界トップレベルに引き上げる必要があるとしています。
中長期的に働き手を増やすには、出生率を早期に引き上げることが不可欠(グラフ1)であり、安倍政権は 6月にも新たな待機児童解消プランを打ち出す方針です。また、当面の人材不足を補うために外国人労働者の積極的な受け入れも必要であるとの意見が多いものの、政府は高い専門性を持つ高度人材以外の労働者の受け入れには、今もなお慎重な姿勢を示しているようです。
表1:50年後の働き手の人口は4割減
現在(2015年) | 50年後(2065年) | |
---|---|---|
総人口 | 1億2,709万人 | 8,808万人 |
65歳以上 | 3,387万人(26.6%) | 3,381万人(38.4%) |
15~64歳* | 7,728万人(60.8%) | 4,529万人(51.4%) |
0~14歳 | 1,595万人(12.5%) | 898万人(10.2%) |
出生率 | 1.45 | 1.44 |
平均寿命 | 男性 80.75歳 女性 86.98歳 |
男性 84.95歳 女性 91.35歳 |
生涯未婚率 | 12.0%(1964年生まれの世代) | 18.8%(2000年生まれの世代) |
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