保有している投資信託が、今どれくらいの利益があるのかを知りたいとき、購入したときの値段がわかるととても便利です。ただ、追加型投資信託の場合、何度でも購入することができるため、同じ投資信託を複数回にわけて購入していると、自分の持っている投資信託全体の値段がわからなくなってきます。こんなときは「個別元本」を確認してみましょう。

「個別元本」って何?

「個別元本」とは、単純に言うと、みなさんがその投資信託を購入したときの値段(基準価額)のことです。(ただし、下にあるように、特別な要因を反映させる場合があります。)同じ投資信託を複数回購入した場合は、受益権口数で加重平均された値段となります。

「個別元本」とは、投資信託を購入したときの値段のことですが、購入したときに支払った販売手数料などは含まれていません。同じ投資信託を複数回に分けて購入した場合は、以下のようにそのときの受益権口数で加重平均されます。

追加購入の場合はどうなるの?

個別元本 =
(追加購入前の投資総額 + 追加購入にかかった投資額) ÷ 追加購入後に保有している受益権口数

※追加購入前の投資総額 = 追加購入前の個別元本 × 追加購入前の受益権口数

具体的な例で見てみましょう。

1.ある投資信託を基準価額10,000円で1口購入した場合

⇒投資信託を購入したときの値段(基準価額)である10,000円が「個別元本」となります。

2.その後、基準価額が12,000円に上がったときに、さらに1口買い増した場合

⇒上記の算式にそって、買い増し後の「個別元本」を計算すると、下記のとおりになります。

個別元本=(追加購入前の投資総額 + 追加購入にかかった投資額) ÷ 追加購入後に保有している受益権口数 =(10,000円+12,000円)÷2口 =11,000円

また、元本払戻金(詳しくは関連項目(1)をご覧ください)を受け取ったときや、分配金を再投資した場合も、この「個別元本」は変わります。わざわざ計算するのが面倒という人は、銀行や証券会社など販売会社に問い合わせましょう。また、投資信託を持っていると、定期的に取引残高報告書が送られてきますので、このなかでも確認することができます。

また、みなさんが分配金を受け取る時や、投資信託を解約したときの税金の計算は、この「個別元本」に基づいて行われます。この課税方法のことを「個別元本方式」といいます。

関連項目1

▶「分配金って何?」

「個別元本方式」とは、「税法上の元本」を受益者ごとに計算する方式です。解約や分配金の場合、解約日もしくは決算日の基準価額と「個別元本」との差額を計算し、その部分に課税します。

換金時は、その受け付けられた注文が実際に成立する日(=約定日)の基準価額(信託財産留保額がかかる場合はそれを差し引いた基準価額)が、みなさんの「個別元本」を上回る金額に対し、税金がかかります。また、分配時は、決算日の基準価額(分配落ち後)がみなさんの「個別元本」を上回る場合は、その分配金に対し、税金がかかります。そのため、換金時、分配時の手取り額は人によって異なります。

ニッセイアセットマネジメント

ふくろう教授の投資信託ゼミナールのご利用にあたって

当資料は、投資教育に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが2017年12月に作成したもので、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

投資信託に関する留意点

  • 投資信託はリスクを含む商品です。運用実績は市場環境等により変動し、運用成果(損益)はすべて投資家の皆様のものとなります。元本および利回りが保証された商品ではありません。
  • 投資信託は値動きのある有価証券等に投資します(また、外国証券に投資するファンドにはこの他に為替変動リスクもあります。)ので基準価額は変動し、投資元本を割り込むことがあります。ファンドは投資元本の保証や一定の成果は約束されておりません。
  • 分配金額は、収益分配方針に基づいて委託会社が決定しますので、あらかじめ一定の額の分配をお約束するものではありません。運用状況によっては、分配金をお支払いできない場合もあります。また、分配金は投資信託財産からお支払いしますので、基準価額が下がる要因となります。
  • 投資信託は保険契約や金融機関の預金と異なり、保険契約者保護機構、預金保険の対象となりません。証券会社以外の金融機関で購入された投資信託は、投資者保護基金の支払い対象にはなりません。
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